Google Earth Studioの映像に、水と光を足す(前編)

ナイアガラの滝に、キラキラと水煙を

🎬 この記事の映像:ナイアガラの滝(世界の絶景 空撮sim紀行 第7弾)


空撮YouTubeの「世界の絶景 空撮sim紀行」では、実際には飛ばせない場所の映像を、Google Earth Studio(以下GES)で作っています。

ただ、GESの映像には決定的に足りないものがあります。水が死んでいるのです。

GESは衛星写真と地形データでできているので、湖も海も滝も、ただの模様です。光らないし、動かない。カメラがどれだけ動いても、水面だけが写真のまま貼りついています。

そこで、GESが書き出した映像に、あとから水の表現を足すツールを自作しました。ツール名は ge_overlayです。前編では、ナイアガラの滝で使った 水面のキラキラ と 滝の水煙 の話をします。


1. どうやって作っているか

映像はこの順番で作っています。

  1. 自作の空撮シミュレーター Drone_PreFlight で、飛ぶ経路とカメラの向きを決める
  2. それを GES に読み込ませて、映像を書き出す(1コマずつの画像になる)
  3. ge_overlay で、水の表現を足す ← この記事の話
  4. 動画にまとめて、編集してYouTubeへ

GESの映像には、Googleのロゴと画像提供元の表示が必須です。これは動画にまとめる段階で自動で入るようにしています。


2. 「どこが水か」を知るのが一番大変

キラキラを足すには、まず 画面のどこが水か を1コマずつ知る必要があります。

最初に思いつくのは、色で見分ける方法です。ナイアガラの水は独特の青緑なので、その色を拾えばよさそうに見えます。ところが、似た色の森や影まで拾ってしまい、コマごとに境目がちらつきました。

そこで、地図とカメラの情報から計算する ことにしました。

  • 川や湖の形は、OpenStreetMap(誰でも使える地図データ)に登録されています
  • GESは、映像と一緒に「1コマごとのカメラの位置と向き」を書き出せます

この2つがあれば、「地図上の川が、このコマの画面ではどこに写っているか」を計算できます。色に頼らないので、ちらつきません。

Drone_PreFlightでも「地図の座標を画面に写す」計算をしていたので、ここは得意な分野でした。

落とし穴:カメラの情報は、別の設定で出す

最初、GESのプロジェクトファイルにカメラの動きが入っていると思っていました。入っていたのは 要所のカメラ位置だけ で、その間をGESがどう動かしたかは記録されていません。自分で補間しても、わずかにずれて、水の範囲が映像と合いませんでした。

正解は、書き出しの詳細設定にある「3Dカメラの書き出し」 でした。これをオンにすると、全コマ分のカメラの位置・向き・画角がファイルで出てきます。形式は After Effects(映像合成ソフト)用ですが、中身はただのデータなので、自分のプログラムで読めます。

もう1つ大事だったのは、計算が合っているかを目で確かめる道具を先に作った ことです。地図上の目印を画面に打った確認画像を出し、ずれていないかを見てから先へ進みました。


3. 水面のキラキラ

水の範囲が分かれば、あとは絵作りです。

水面を全部光らせると、嘘くさくなります。コツは、もともと明るい所だけを強調する ことでした。

  • 水の中で、明るい所・周りより明るい所に、光の点を置く
  • 点を十字に光らせる
  • 前のコマの光を少し残して、自然に明滅させる
  • カメラから遠い水ほど、光を小さくする

遠くの光を小さくしないと、遠くの湖が砂をまいたように見えてしまいます。岸のすぐそばも小さくして、光が陸にはみ出さないようにしました。


4. 滝の水煙

ナイアガラで欠かせないのが、滝つぼから立ちのぼる水煙です。

水煙は、たくさんの小さな粒で作っています。

  • 滝つぼの周りに、粒を 地図上の実際の大きさ で置く
  • 粒は8秒かけて、上へのぼりながら広がり、消えていく
  • 煙が濃い所では、水面のキラキラを弱める

ポイントは、粒を 画面の上ではなく、地図の上に置いている ことです。そのため、カメラが近づけば水煙は大きく、離れれば小さく見え、回り込んでも滝つぼの位置にちゃんと留まります。

滝そのものは、上流と下流の水面の高さの差として表しています。滝の落ち口から下流が一段低い、という設定を地図の上で与えると、その段差が滝の面として塗られます。


5. After Effectsで作らなかった理由

「それ、After Effectsでできるのでは」と思われるかもしれません。実際、GESのカメラ情報はAfter Effects用ですし、水煙やさざ波を作る機能もあります。見た目を似せるだけなら、たぶん作れました。

それでも自作したのは、After Effectsが 「画面のどこが水か」を知らない からです。地図の川を画面に写す計算は、どのみち外で自分でやる必要があります。そして、そこが作業の半分以上でした。

もう1つ、場所が変わるたびに手で調整し直すのを避けたかった、という理由もあります。今のツールは、場所ごとの設定を数行書き換えて、ダブルクリックで動かすだけです。


6. 詰まったところ

  • 地図データが取れない。 地図サーバーが混んでいると、川や湖のデータが取れずに止まる。時間を置いて再実行する
  • 3000コマで1時間。 1コマに1秒少々かかる。長い処理は途中で止めて、続きから再開できるようにした
  • GESのロゴ位置は保存されない。 書き出しのたびに、手で左下を指定している

次回(後編)

ナイアガラでキラキラと水煙ができたところで、欲が出ました。

夕日が海に落とす 光の道 は作れないか。 湖に映る 逆さ富士 は作れないか。

後編では、海と湖に挑戦して、ダブルダイヤモンド富士 を作った話をします。

👉 後編:光の道と逆さ富士


Comments

“Google Earth Studioの映像に、水と光を足す(前編)” への1件のフィードバック

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